設計案/Architectural Concept
都心からすぐの建て込んだ住宅街。道幅が狭く人通りの多い商店街に面した小さな角地に、これからの時代にふさわしい建売住宅の形を提案しました。
これまでの住宅は「家庭」と「労働」とを完全に分離する生き方を前提にしてきました。特に建売住宅は通勤者しか想定しておらず、家の中に労働の場はないか、あっても申し訳程度の書斎コーナーが関の山でした。
「なりわいの家」は、「家庭」と「労働」を一体で連続したもの=「生業(なりわい)」と捉え、より多様な働き方・生き方を可能にします。
従来の画一的な家庭観を象徴する「LDK」を解体し、変化に富んだ空間で「プライベート」と「社会」との間を段階的につなぐことで、決まりきった住宅としてだけでなく、オフィスや店舗、アトリエなど、住む人自身がそれぞれの空間の使い方を選び、生業の拠点としての住まいを主体的に組み立てることを可能にします。